日本最大の大学入試に関する協議会及び研究発表の場である全国大学入学者選抜研究連絡協議会大会が、5月20日(木)~22日(土)の日程で開催されました。毎年度全国から多数の参加者が会場校に集まって開催される本大会ですが、2020年度はコロナ禍で中止となり、2021年度はオンラインでの開催となりました。
全日程のオープニングに開催されるのは大学入試センター主催セミナーである「全体会Ⅰ」。今年度のテーマは「『定員管理の厳格化』によって何が起きたか~これまでとこれから~」でした。このテーマは、当初2020年度に予定されていたものであり、大会中止のため実現しませんでしたが、テーマの重要性に鑑み、今年度あらためて企画・実施されたものです(なお、2020年度大会で報告予定だった内容は、『大学入試研究の動向』第38号に掲載されており、大学入試センターHPから閲覧いただけます)。
本テーマについては、大学入試センター山地弘起教授、立命館大学本郷真紹教授、弊研究所・所長福島が中心となり、同・専任講師日下田が協力する形で、企画、運営されたものです。
開催当日は、午前10時に開催し、大学入試センター山地教授の総合司会のもと、弊研究所福島所長の主旨説明のプレゼンの後、大学通信・安田賢治常務取締役からの概説「『定員管理の厳格化』」によって何が起きたか~これまでとこれから~」に続き、報告①として弊研究所日下田専任講師から「東京23 区の私立大学における『トリクルダウン現象』~人文・社会科学系の中規模大学の事例~」、報告②として山梨大学・藤修准教授から「定員厳格化のもと、山梨県及び山梨大学における影響」、報告③として埼玉県武南中学高等学校岡本眞一郎教諭から「学校推薦型選抜の加速化とチャレンジ精神の危機」がありました。それぞれ、専門企業、東京23区の私立大学、東京隣県の国公立大学、東京隣県の高等学校の立場という多角的な視点から、「定員管理の厳格化」の影響を議論していただきました。
それまでの報告を総括する視点から、同志社大学・圓月勝博教授から「入学定員管理の厳格化の影響―これまでとこれから―」、加えて、山形城北高等学校・大沼敏美校長から「大学選択と地方創生~地方の現状から見えること~」のタイトルで、指定討論を行いました。お二人は、それぞれ日本私立大学連盟、関西の私立大学、東北地方の高等学校の立場から、議論に厚みを加えました。
2日間の全体会Ⅰ~Ⅲを通して、約500名の参加登録者(のべ1,500名以上)があり、大変な盛会の中、討議が行われました。
また、最終日の22日(土)には、全体会Ⅰに関連して、セッション6会場で、弊研究所福島、日下田が、それぞれ「定員管理の厳格化の入試倍率・偏差値・志願者動向への影響―東京の大学におけるトリクルダウン現象の現在地―」、「トリクルダウン現象に伴う学生生活の変化」の論題で研究発表を行いました。